本年度は、署名埋め込み画像の画質に優れかつ透かし削除攻撃にも優れた電子透かし法を実現するために、インパルスをスミア変換を用いて拡散して画像に埋め込み、画像空間に埋め込んだインパルス位置情報を署名情報とする新しいスミア変換を用いた電子透かし法を提案し、そのアルゴリズムを求めた。つぎに、本電子透かし法は、透かし埋め込み時の画質劣化が量子化誤差を除き、埋め込む透かし情報のエネルギに正確に比例することを示した。最後に、計算機実験により、サイズが256×256の256階調濃淡画像に16bitの署名情報を埋め込んだ場合、約38dBの画質を実現し品質劣化がほとんど確認できないことを示した。また、この条件において、通常のクオリティでJPEG圧縮されても埋め込んだ署名が90%以上の割合で残存できることを示し、本電子透かし法の有効性を明らかにした。
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