研究概要 |
Ageingも含めた土の時間依存的性質に及ぼす温度の影響を実験的に考察し,その成果を粘土の弾粘塑性構成理論に組み入れることが本研究の課題である.平成11年度の当初目的は,土粒子の熱膨張の影響を評価するための実験的研究を行うとともに,粘土の弾粘塑性構成理論において温度の効果を組み入れるための理論的研究を行うことであった. (1)土粒子の熱膨張の影響を検討するために,熱膨張率の測定を試みた.熱膨張によって土粒子密度が小さくなるという原理を採用し,土粒子密度の温度による変化を実測した.通常のピクノメータ(50ml)では精度のよい結果が得られなかったので,容量の大きな容器(500ml フラスコ)を用いた.3.44X10^<-4>(℃^<-1>)という結果を得たが約10倍過大評価している可能性があると考察した.(平成11年度土木学会年次学術講演会で発表) (2)加熱することによってAgeingのような長期の時間効果を短期間で発現させた場合の時間短縮効果を定量的に評価する方法を示した.実際の試験条件で計算した結果ならびに土の構成パラメータの影響を調べた.その結果,1次圧密終了後早い時間経過したときに加熱を始めると時間短縮効果が大きいこと,また,二次圧縮速度の大きな試料ほど相対的に加熱による時間短縮効果が小さい等の知見を得た.(平成12年度地盤工学研究発表会発表予定) (3)二次圧縮速度Cαは通常の1次元圧密試験の結果から容易に決定できる.Cαを考慮した時間依存構成式を組立てる試みを行ったが,公表する段階に達していない. 平成12年度は,土粒子の熱膨張率測定精度を上げること,温度効果を考慮した時間依存構成式を組立てることである.
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