研究概要 |
一次元圧縮状態における粘性土の温度・時間依存的挙動を実験的に調べた.温度依存的挙動はある荷重の下で温度を変化させる実験を通して,速度依存的挙動は圧縮速度を変えて行った定ひずみ速度圧密試験を通して考察した. 温度を常温から80℃程度の高温までで変化させたときの挙動における土粒子の熱膨張の影響を定量的に評価した.土粒子の熱膨張率は土粒子密度の温度依存性から評価した.方法の妥当性を熱膨張率が既知の金属材料を用いて長さ測定と密度測定から熱膨張率を決定し比較することによって検討した.密度測定から熱膨張率を測定する方法が精度的に妥当な結果を与えることが分かった. 二次圧密によって生じる間隙比の変化を温度上昇によって生ぜしめる場合,二次圧密時間と温度変化量の関係を理論的に導き,実粘土試料に対してその関係を提示した.同関係において粘土粒子の熱膨張率の影響を考慮すると加熱による二次圧密促進効果が大きく評価されることが分かった. 定ひずみ速度圧密試験結果に既存の整理法を適用して決定される試料の構成的性質は,圧密理論および整理法に含まれた仮定のため,真の性質ではない.そこで同試験の結果から試料の真の構成関係を次の手順で求めた.試験結果に整理法を適用して仮の構成的性質を求め,それから仮の構成モデルを作る,仮の構成モデルを用いて有限変形有限要素解析によって定ひずみ速度圧密試験を模擬する,数値解析の結果と実際の試験結果を比較して,差がある基準値より大きなときには構成モデルを修正する.構成モデルは筆者が開発した弾塑性モデルである.この手続きによって,東京湾泥の練り返し再圧密試料の構成モデルパラメータに及ぼす圧縮速度の影響を評価した. 本研究では一般応力状態における温度・時間依存的構成関係について成果を出すには至らなかった.今後の課題としたい.
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