研究概要 |
エイジングも含めた土の時間依存的性質に及ぼす温度の影響を実験的に考察し,その成果を粘土の弾粘塑性構成理論に組み入れることが本研究の最終の目的である.平成12年度の当初目的は,土粒子の熱膨張率測定精度を上げること,温度効果を考慮した時間依存構成式を組立てることであった.当年度に得た成果は次の通りである: (1)熱膨張によって土粒子密度が小さくなるという原理を採用し,土粒子密度の温度による変化を実測した.新たに高精度のはかりを用いることによって方法を改善した.その結果,3種類の海底粘土の熱膨張率を測定できた(10^<-4>℃^<-1>のオーダー) (2)熱膨張率が既知な金属材料を用いて長さ測定と密度試験を行うことによって,土粒子密度から熱膨張率を測定するという方法の精度評価を行った.その結果,この方法が満足のいく精度を有していることが分かった(平成13年度地盤工学会研究発表会で発表予定) (3)エイジングのような長期の時間効果を加熱することによって短期間で発現させた場合の時間短縮効果を土粒子の熱膨張の影響を考慮して定量的に評価した.土粒子の熱膨張の影響を考慮すると,考慮しない場合に比べて,時間短縮効果を大きく見積もると言う結果を得た.(平成13年度地盤工学研究発表会発表予定) (4)定ひずみ速度圧密試験から試料の真の構成パラメータを推定することによって圧縮速度効果を調べることを試みた.そのために,まず,測定データを吟味する方法を確立した.次いで,定ひずみ速度圧密試験結果から試行的逆解析手法によって試料の真の構成パラメータを推定した.推定した真の構成パラメータに対する圧縮速度の影響を調べた.その結果,圧縮速度が速くなると圧縮係数が大きくなる傾向があること,従って透水係数と有効応力の関係においても圧縮速度の影響が現れることを明らかにすることができた.(平成13年度地盤工学研究発表会で発表予定)
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