平成9年から平成11年にかけて鹿児島沿岸海域から分離したラビリンチュラ分離株3株について、リボゾーム小サブユニットRNA遺伝子(SSUrDNA)塩基配列に基づく分子系統解析を試みた。そのためにまず、ラビリンチュラ細胞の大量培養法について検討した。ラビリンチュラ分離株は、珪藻および海洋細菌の加熱処理細胞を添加した二重寒天平板培地上で半透明の薄膜状のコロニーとして増殖した。ラビリンチュラ分離株の増殖には、必ずしも生細胞が必要ではなく、加熱死菌体や動物の血清添加平板上でコロニー増殖することが分かった。加熱死菌体平板培地上のコロニーを集菌して、プロテイナーゼーSDS法により全DNAを精製し、PCR法でSSUrDNAを増幅した。得られた増幅産物の塩基配列を決定し、近隣結合法により分子系統樹を構築した。ラビリンチュラL95-1、L95-2、L96-2株の18SrDNA塩基配列に基づく分子系統解析の結果、データベースに登録されているLabyrinthula sp.SN-1565と最も近縁(87%)であり、Labyrinthulid phylogenetic groupに属していることが明らかとなった。
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