研究概要 |
1.間隙水中の塩が粘土の圧密特性に及ぼす影響:練返し粘土の圧密特性に及ぼす間隙水中の塩の影響について検討した.圧密係数,体積圧縮係数,透水係数に及ぼす間隙水中の塩の影響は1:1型鉱物(カオリン,ハロイサイト)か2:1型鉱物(セリサイト,ベントナイト,有明粘土)かによって異なるが,その影響はベントナイトにおいて顕著である. 2.粘土の二次圧縮係数:粘土の種類の違いが粘土の二次圧縮係数C_<αe>に及ぼす影響を把握するため主要な粘土鉱物が異なる練返し粘土について圧密試験を行った.カオリン,ハロイサイト,セリサイトのC_<αe>は圧密圧力pの増加に対して一定であるが,ベントナイトと有明粘土においては上に凸の曲線を示した.C_<αe>/C_c(C_c:圧縮指数)はカオリン,ハロイサイト,セリサイトの場合にはpにかかわらず一定であるが,ベントナイト,有明粘土においてはpの増加に対して減少を示した.二次圧密にかかわる性質は練返し粘土であっても一定の傾向にはなく,主要粘土鉱物がスメクタイトであるか否かによって異なる.不攪乱有明粘土のC_<αe>/C_<c'>は圧密降伏応力p_c下において最大を示すが,その後の圧力の増加に対してはほぼ一定であり,C_<αe>/C_cの平均値は分布の95%信頼区間は0.029〜0.049であった.この値はLaddによる指摘の範囲内にある. 3.有明粘土のK_0,λ、κについて:側方応力を測定することができる圧密試験機を用いて,粘土地盤の変形解析に必要なK_0,λ、κについて検討した.K_0はpがp_c付近において最小値K_0=0.2〜0.5を示し,以後,pの増加に伴って増加するが,(4〜6)p_c以上のpにおいてはK_0=0.45〜0.65になり,pにかかわらず一定となる.λを一次元圧密試験結果の圧縮指数から推定する場合には過大な値となる.圧密圧力の変わりに平均圧密圧力に対して整理すべきである.有明粘土について,λ_c=0.521f-1.08(f:体積比,λ=0.4343λ_c),κ/λ≒0.1が得られた.
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