研究概要 |
(1)前立腺炎患者由来の大腸菌(Z42株)より、Purine NTP binding motifを包含するcoding flameの一部をcloningし、zot-like DNA probeと名付けた。これを用いて、種々の尿路病原性大腸菌に対してSouthern hybridization testを行ったところ、由来を問わず多くの尿路病原性大腸菌(378株中321株陽性:約85%)にzot-like遺伝子が存在していた。(2)Z42株のwhole cell DNAからzot-like遺伝子をcloningし、その塩基配列(1038bp)を決定した。得られたOpen Reading Flame(ORF)の塩基配列とzotのそれとを比較したところ、Purine NTP binding motif以外には相同性が見当たらなかったので、このORFを新たにuropathogenic specific protein(usp)と命名した。さらに、このuspの下流の塩基配列を決定したところ、3つのORF(orfU1,2,3)が存在した。これら4つのORFのhomology searchをGeneBankに対して行ったところ、今までに報告されていない全く新しい遺伝子群であった。(3)これら4つのORF(usp、orfU1、orfU2、orfU3)の上流および下流の塩基配列を決定し、既報の大腸菌K12株の染色体DNAと比較したところ、House keeping geneであるaroPとpdhRの間にこれら4つのORFが挿入されていることが判明した。(4)マウスを用いた上行性尿路感染モデルにおいて、usp遺伝子をpMW118に挿入したrecombinant plasmid DNAを持つ大腸菌JM109株が、親株同様、強い病原性を示し、uspのin vitroでの病原性を証明した。
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