研究課題/領域番号 |
10670251
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 信一 金沢大学, 医学部, 教授 (90019620)
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研究分担者 |
小崎 俊司 大阪府立大学, 農学部, 教授 (10109895)
唐澤 忠宏 金沢大学, 医学部, 助教授 (90251917)
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キーワード | 神経毒素産生性ブチリクム菌 / 塩基配列 / ボツリヌス菌 / E型ボツリヌス菌 / 毒素活性化 / 致死毒素 / 乳児ボツリヌス症 / 食餌性ボツリヌス中毒 |
研究概要 |
1.遺伝学的解析 (1)E型神経毒素遺伝子プローブによる染色体DNAのサザンブロット解析でも、RAPDやPFGE(前年度報告済)同様3群すなわち、イタリア乳児ボツリヌス症由来株、中国食中毒由来(連雲港灌雲県・沛県・済寧市由来)株、中国微山湖土壌由来株に分別された。また、毒素遺伝子は染色体DNA上に存在することが明らかになった。 (2)中国由来11株とイタリア由来1株の毒素遺伝子の全塩基配列を決定した。中国由来11株の毒素遺伝子塩基配列は同一であり、アミノ酸同一性はイタリア由来株毒素と95.0%、E型ボツリヌス菌毒素(既報と比較)と96.9%であった。 2.毒素学的解析 KZ 1885株(中国連雲港食中毒由来)の精製神経毒素は、ボツリヌス菌E型神経毒素と同様にトリプシンで活性化され、その活性は約300倍上昇した。継時的変化を調べると、BL5262株(イタリア乳児ボツリヌス症由来)の神経毒素は、トリプシンにより速やかに活性化を受けるが、KZ1885神経毒素の活性化はボツリヌス菌E型神経毒素と同様のパターンを示し、BL5262神経毒素よりも緩やかに活性化された。しかし、活性化後のKZ 1885神経毒素の比活性は 1.1×10^6 ipLD_<50>/mg蛋白で、E型神経毒素(1.6×10^7ipLD_<50>/mg蛋白)より約15倍低いことがわかった。現在、毒素活性の差異を明らかにするために、E型神経毒素の細胞内標的蛋白であるSNAP-25に対する切断実験、脳シナプトソームに対する結合実験を行なっている。
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