研究課題/領域番号 |
10670761
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 文之 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助教授 (10057010)
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研究分担者 |
川目 裕 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (60246395)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (60160595)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (90167255)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 教授 (50056909)
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キーワード | リソゾーム病 / 遺伝子治療 / 臨床表現型 / 中枢神経 |
研究概要 |
ゴーシェ病、スライ病をはじめとするリソゾーム病においては進行性の中枢神経症状を呈するものがあるが、現在のところ有効な治療法がないのが現状である。遺伝子治療が有力な治療法として考えられているがリソゾーム病においてはその臨床表現型に差異がありどのような症例が遺伝子治療の対象になるか明確にすることが重要であり、また中枢神経に目的とする遺伝子が効率よく導入するシステムを開発することが極めて大きな課題である。 本年度は日本人ゴーシェ病35例の遺伝子変異、臨床症状を検討し欧米人に比較して日本人のゴーシェ病は重症で進行性であることを明らかにした。従って、日本人ゴーシェ病の多くは遺伝子治療の対象となりうることが示唆された。また、酵素補充療法を施行した急性神経型日本人ゴーシェ病症例においてその病理学的変化を検討し、中枢神経系親和性ベクターを用いた遺伝子治療の必要性を明らかにした。さらに、スライ病の動物モデルに対してレトロウイルスベクターにグルクロニダーゼを組み込み、ヒト臍帯血より分離、精製した造血幹細胞(CD34陽性細胞)を標的臓器として遺伝子治療を試みた。導入効率はCFU-GMで平均66.8%、LTCIC(long-term culture initiating cell)では20%と50%であった。グルクロニダーゼ活性は5週間正常レベルを維持していた。少数の造血幹細胞への遺伝子導入にもかかわらず酵素活性が十分上昇したことはリソゾーム病における遺伝子治療の可能性を示唆するものであった。
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