研究概要 |
細胞外基質シグナル伝達経路に関与する分子の発現を、in situ hybridization,northern blot hybridizationにて確認するため、PCR・TAクローニングを用いて以下の分子のプローブの作成を行った:collagen type 1,fibronectin,integrin alpha 2,4,5,rho A,B,rac1,cdc42,ephrin B2,Eph B4,RHAMM。ヒアルロン酸合成酵素Has1,Has2のプローブは愛知医大木全博士より供与された。まず、胎生9-11日目のマウス胎仔心の凍結切片を用いてcollagen type 1,fibronectin,integrin alpha 2,4,5,RHAMM,Has1,Has2のin situ hybridizationを試みた。 その結果、心流出路に於いて、fibronectinは心内膜細胞のみに、Has2.collagen type 1及びintegrin alpha2は心内膜及び心内膜由来の間葉細胞に発現を認めた。integrin alpha 4,5,,RHAMM,Has1は有意なシグナルを認めなかった。integrin alpha 4は、免疫組織化学により心内膜由来間葉細胞に発現を認めることをすでに確認しているので、collagen type 1合成細胞とintegrin alpha 2合成細胞の間には、autocrine的関係が、fibronectin合成細胞とintegrin alpha 4合成細胞の間にはparacrine的関係があることが示唆された。またrho A,B,rac1,cdc42に関しては、RT-PCRではシグナルを認めるものの、in situ hybridizationでは発現を確認できなかった。 これには、mRNAの細胞内に存在する量が十分でない可能性が考えられる。ephrin B2,Eph B4については、whole mount in situ hybridizationによる検索を実施しており、その発現パターンを検討中である。
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