癌の治療上の最も重要な課題は癌転移を制御することであり、多くの過程を経て成立する癌転移の各々を解明していくことは、癌治療で最も重要である。 我々は肺癌細胞と骨軟部腫瘍細胞株を使用したサイトカイン、血管新生因子、接着因子等の解析を通じて、転移を制御するには、これらの物質の遺伝子そのもの、あるいはこれらを制御する因子の遺伝子を制御すれば可能で、これらの遺伝子が転移制御遺伝子であろうとの仮定から、この遺伝子を検索することにした。そこで、我々はこれらの遺伝子を得るため以下の計画を企てた。 一搬に、ヒトの癌転移をヌードマウスの皮下へ異所性移植では多くのバリアーがあり、殆ど癌転移は生じないとされている、然しながら、異所性移植にこそヒト癌転移関連の遺伝子の存在するとの考えから、異所性移植にて転移する肺癌細胞株をから、選択・分離した高転移性株と非転移株細胞の間でサブトラクション法により、新しい転移制御遺伝の検索を行った。両細胞間でこの法を実施して、転移株に発現している遺伝子断片を得、これをプラスミドベクターに組み込み大腸菌に発現させた後、DNAを抽出して塩基配列決定し、データーベースにて遺伝子の検索した。発現の検出された遺伝子はチトクロームオキシダーゼ等のミトコンドリア遺伝子が4個、リボゾマル蛋白関連のものが2個、肺サファクタント、乳酸脱水素酵素、エンドブレビン、マウス筋蛋白、血小板活性因子、ラミニンレセプターと既存の遺伝子と一致しない末知の遺伝子が4個得られた。この内未知のニつのものについてcDNAライブラリーを作製して、この遺伝子を単離を試みている。
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