研究概要 |
すでに著者らが1997年のNature Medicine誌に報告した如く、分泌シグナルを付加した血菅新生抑制因子のcDNAを組み込んだウイルスベクターの作成を行い遺伝子導入を行うことにより、導入した細胞より血菅新生抑制因子が分泌されそれが血管内皮細胞の増殖を抑刺し、血管新生が抑制することを介した腫瘍増殖抑制効果を期待し、将来的に臨床応用をめざすprojectを計画中である。そのうちangiostatinについてはplasminogenのcDNAよりPCRで増幅したフラグメントに分泌シグナルを付加した遺伝子をすでにレトロ、アデノ両ベクターに組み込み、組み換えを行いウイルスを精製し、in vitroの系でグリオーマ細胞に遺伝子導入することに成功した。グリオーマ細胞より産生されたタンパクが生物学的活性を有すること(即ち導入遺伝子産物による内皮細胞増殖抑制効果)を確認している。endostatinついては現在、PCRや制限酵素の処理等で遺伝子の精製を行い、ウイルスベクターに組み込みを行うためのクローニングを行っている段階である。その後、angiostatinと同様に内皮細胞増殖抑刺効果について検討を加える予定である。またウイルス精製に必要となるグリオーマ細胞あるいはウイルス産生細胞(PA317,293細胞)を増殖させプラスミドの精製や遺伝子導入に必要な試薬の準備およびin vitro,1n vivoの系での血管新生抑制効果、抗腫瘍効果について検討していく予定である。in vivoの脳腫瘍治療モデルの作成も併せて行っていく予定である。さらに血管新生とアポトーシスとの関連を調べるため免疫組織学的検索をすべく、抗体、標本作成、試薬の調整等の準備を目下進めているところである。
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