研究課題/領域番号 |
10671325
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
田中 俊英 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助手 (90301530)
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研究分担者 |
赤崎 安晴 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助手 (00256322)
馬目 佳信 東京慈恵会医科大学, 第一細菌学, 講師 (30219539)
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キーワード | angiogenesis / gene therapy / viral vector / glioma / angiostatin / endostain / endothelial cells / apoptosis |
研究概要 |
分泌シグナルを付加した血管新生抑制因子のcDNA(angiostatin)を組み込んだウイルスベクターの作成を行いグリオーマ細胞へ遺伝子導入を行うことにより、グリオーマ細胞から血管新生抑制因子が分泌されそれが血管内皮細胞の増殖を抑制し、血管新生が抑制することを介した腫瘍増殖抑制効果を認め、1998年にCancer Research誌へ発表した。今年度の研究は、さらに血管新生抑制因子の遺伝子治癒が脳腫瘍のみならず、他の癌治療モデルに対しても有効であることを調べるため、様々な治療モデルを作成した。特に血管新生促成因子の1つであるVEGF(vascular endothelial growth factor)は、血管新生を促進するだけでなく、血管透過性を亢進させ、腫瘍に随伴した浮腫や腹水、胸水を産生するメカニズムの1つとして注目されている。そこで、本治療モデルが腹水産生腫瘍に対して腹壁の血管新生を抑制することにより抗腫瘍効果、腹水産生抑制効果を有するか否かについて検討することにした。β galactosidase発現アデノウイルスベクターを用いて腹腔内での遺伝子発現レベルと遺伝子導入範囲を調べ腹腔内腫瘍が遺伝子導入の標的として適していることを見出した。さらに以前報告した分泌シグナルを付加した血小板第4因子(sPF4)の遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いて血性腹水産生乳癌細胞を生着させたマウスに対し、治療を行なったところ有意な延命効果、抗腫瘍効果を認めた。またsPF4遺伝子導入により腹水産生が抑制されただけでなく、腹水の性状も血性でなく、黄褐色の滲出性であった。さらに血管新生とアポトーシスとの関連を調べるため免疫組織学的検索をすべく、抗体、標本作成、試薬の調整等の準備を目下進めているところである。まだ雑誌投稿前の段階であるが、2000年のアメリカ癌学会で発表する予定である。
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