研究概要 |
Juvenile Visceral Steatosis (JVS) mouseはカルニチン輸送担体の活性がない(BBRC174:1090,1991)。このため腎でのカルニチンの再吸収が障害され(BBA 1226:25,1994)、血中と全身の組織(肝、心、骨格筋)でのカルニチン濃度が低下する(J Mol Cardiol 30:773,1998)。即ち、ヒトのprimary carnitine deficiencyのanimal modelである。 平成10年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1) 原因遺伝子の同定 JVSマウスは常染色体劣性の遺伝形式をもつ、単一遺伝子疾患である。原因遺伝子は、第11番染色体上に局在することを、1996年に報告していた。1998年にhuman OCTN2 (Na^+ dependent carnitine transporter)が報告されたので、mouse OCTTN2をcloningし、その第6 trans membrane domainにあるcodon 352のCTG(Leu)が、JVSマウスではCGC(Arg)に変異していることを見い出した。 2) 精巣の分析 JVSマウスのオスは生殖能が極めて悪く、その原因を知る目的で組織学的分析を行った。その結果、精巣上体の体部と尾部の間で、閉塞(6例中5例が完全、l例が不完全)し、完全閉塞の場合、尾部には精子が見られなかった。精巣上体は精子を通過させながら、成熟させていく極めて大切なorganであり、JVSマウスがヒトの閉塞性無精子症のanimal modelになりうる可能性を示した。
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