研究概要 |
マウスの嗅上皮を採取し同種マウスの鼻腔内へ移植し,生着の有無を観察した。使用したマウスはBalb-Cマウスで,ドナーとしては生後1〜2日の新生マウスを用い,レシピエントには成熟雄マウスを用いた。まず冷凍麻酔下に新生マウスの嗅上皮を含む鼻粘膜を鼻中隔軟骨および鼻骨を含めて採取した。次いで成熟マウスをペントバルビタールにて麻酔し,頭部を固定,鼻背の皮膚を切開し,鼻骨を露出,片側の鼻骨を持ち上げて鼻腔を開放した。鼻粘膜は部分的に開窓してその部分にドナーの鼻粘膜を挿入し,鼻骨を戻して閉創した。処置後1週と4週に移植部の組織標本を作製し観察した。その結果,1週後の標本では移植片の残存する例と,残存しない例の両方を認めた。移植片が残存する標本ではその周囲に,炎症反応を認め,残存組織には典型的な嗅上皮で見られるような嗅細胞の核の層構造は認めなかった。4週後でも残存する例と,残存しない例の両方を認めたが,残存例では1週で見られた炎症反応は認めず,移植組織として核が層構造を有する嗅上皮と思われる上皮を認めた。
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