研究概要 |
ホスホトランスフェラーゼ型のリボ核酸分解酵素類において、RNase A family, T1 familyに属する塩基特異的酵素による「厳密」な塩基認識機構は、種々の複合体のX線結晶構造解析等によって詳細に明らかにされている。一方、本研究のテーマであるRNase T2 familyに属する塩基非特異的酵素に関しては、3種類の酵素の立体構造(RNase Rh, RNase MC1, RNase LE)が報告されているが、同familyに属する酵素による「柔軟」な塩基認識機構に関しては、未だ不明な点が多い。我々は、塩基非特異的酵素による塩基認識幾構を明らかにするため、RNase T2 familyに属するトマト由来リボ核酸分解酵素RNase LEと種々のヌクレオチドとの複合体のX線結晶構造解析を行ってきた。今年度は、基質類似体であるdeoxyguanyly1-3', 5'-deoxyguanosine、即ちd(GpG)の結晶構造解析を行った。複合体結晶は、Native結晶を、d(GpG)を含む溶液にソーキングすることにより得た。X線回折データは高エネルギー物理学研究所の放射光施設BL18Bで収集した。構造は、差フーリエ法により決定し、構造精密化の結果、1.8Å分解能で信頼度因子Rは0.20となった。基質類似体d(GpG)は、以前に構造解析を行った3'-GMP(B1サイトに結合)複合体結晶、5'-GMP(B2サイトに結合)複合体結晶の解析の場合と同様に、5'-側グアニン塩基(G)はB1サイト、3'-側のグアニン塩基(G)はB2サイトにproductive binding modeで結合していることが判明した。本酵素の活性に関与するサイトであるB1、R1、P1、R2、B2各サイトの詳細な構造が明らかとなった。
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