研究課題
本研究は、看護学の体系化に向けて最も重要な学的基盤としての看護哲学の確立をめざし、本年度の目的は1)既存の看護理論等に含まれる看護学の学問観、科学観、看護学の方法、認識に関する問題、人間観あるいは存在に関する問題や看護行為、援助論に関する具体的記述を抽出すること、2)1)について歴史的変遷、他学問領域における類似、対立概念を吟味しつつ解釈、分析を行うことであった。看護理論として、F.Nightingaleの著作、A.Wiedenbach「臨床看護の本質」、M.Rogers「ロジャーズ看護論」、J.Watson「ワトソン看護論」、看護哲学に関連する米国を中心としたジャーナル論文について取り上げ、上記の視点から抽出、分析した。分析結果については第19回日本看護科学学会交流集会において発表し、看護研究者らと議論を深め、以下のような論点が見られた。(1)看護学の独自性看護学の独自性はどこに見出すべきか(看護者の行為、看護学の目的・目標、看護学の知識体系、看護学が対象とする現象、現象を捉える視点等)(2)学問観学問とはなにか?(創り出された結果としての知識体系か、知識を創り出す探求のプロセスそのものか)、学問と科学はイコールか。(3)看護学の知識構築のスタイルダイナミックに変化していくものを概念規定することに限界はないかこれまでの看護学における概念提起に対する議論の貧弱さ(4)看護学の方法看護における論理的分析と直観的理解感性や価値観を科学的に提示する必要があるのではないか看護学においては因果関係ではない論理を求めても良いのではないか