研究概要 |
平成12年度はワインの製造過程で排出するブドウ粕を用いて生分解性を有するポリウレタンの調製を試みた。ブドウ粕含有生分解性ポリウレタン(GG-PU)はGG含有ポリオール(200メッシュGG+ポリエチレングリコール(PEG,400))とジフェニールメタンジイソシアネート(MDI)から、GG/Polyol比の異なるGG-PUフィルムを得た。GG-PUフィルムの生分解性試験を行い、GG-PUフィルムの生分解試験前後の強伸度特性、ガラス転移温度(Tg)、熱分解温度(Td)等を測定し、電子顕微鏡(SEM)観察を行った。 GG-PUフィルムの破断点応力(σ_b)及びヤング率(E)は、GG/Polyol=0.6で極大値を示すカーブを描いた。破断点伸度(ε_b)及び破断点エネルギー(A)はGG/Polyol=0.4までは急激に減少し、その後ほぼ一定となった。これは、GGがPU中で、ハードセグメントとして作用し、GG/Polyol比の増加とともに三次元化が進み架橋密度が増加するためであり、さらに過剰に入れると脆性破壊を起こし、低下すると考えられる。GG-PUフィルムのTgは、GG/Polyol比の増加にとともに上昇し、熱容量差(ΔCp)は低下した。これは、PU中のGGパウダーの増加とともに架橋点が増加し三次元化が進行し、架橋密度が高まるためと考えられる。 GG-PUフィルムの生分解性試験による重量減少率は、試験日数初期の30日までが特に大きく、試験日数の増加ともに高くなり、それ以降は緩やかな増加となった。またGG/Polyolの増加とともに高くなった。これは、初期には土壌中の水分や太陽熱による熱処理効果が強く現われ、その後、微生物によるPU主鎖の切断が生じるためと考えられる。生分解性試験後のPUフィルムのSEM写真から重量減少率が大きくなるにつれ、微生物による表面の侵食が大きくなることがわかった。
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