研究課題/領域番号 |
10680287
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研究機関 | 兵庫県立看護大学 |
研究代表者 |
藤原 顕 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (60261369)
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研究分担者 |
山住 勝広 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (50243283)
松崎 正治 鳥取大学, 教育地域科学部, 助教授 (20219421)
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キーワード | 教師 / 授業構成 / ナラティヴ・ディスコース / 実践経験の語り / 教師の実践的知識 / 理論的知識 / 教師インタビュー / 事例の物語的記述 |
研究概要 |
研究1、2年目の平成10〜11年度には、人文・社会科学研究において重要な方法論的概念となっている「ディスコース(discourse/Discourse)」と「ナラティヴ(narrative)」に関する理論的考察を行った。そして、教科の授業と学習にかかわる教師の「物語的(ナラティヴ)」ディスコース(ある状況における言語表現という意味のdiscourse)、すなわち教師による授業実践経験の語りを対象として、そこからその教師の語りを規定する「ディスコース(社会文化的な意味構成の枠組みという意味のDiscourse)」、さらにはその教師の実践的知識の探究を行った。その際、教師インタビューによってえられた授業構成にかかわる実践経験の語りを共同的に解釈し、事例として記述するという研究方法を採用した。 このような研究経過をふまえて、本年度は、研究のまとめとして、インタビューを通してえられる教師の授業実践経験の語りを対象としながら、その教師の実践的知識に迫るという研究方法論を「ナラティヴ・アプローチ」として明確化する作業に取り組んだ(科研報告書にて報告)。なお、あわせて、上記の教師の実践的知識研究から派生した、教師の実践的知識と教師の外から提起される理論的知識の関連、さらにはそうした関連に基づく教師の成長の実態の探究という課題のもとに、実証研究を行った。具体的には、総合的学習に取り組んだ兵庫県下の小学校におけるフィールドワークに基づいて、そこでえられた教師のインタビューから、教師の実践的知識と総合的学習に関する理論的知識の関連を解釈することを試みた(次頁「研究発表」の項参照)。 以上のような3年間の研究成果を総括すれば、(1)教師の「物語的(ナラティヴ)」ディスコース=実践経験の語りは、授業研究において有意味なデータである、(2)このデータから、語りを規定する「ディスコース」や実践的知識と概念化できる教師の実践経験の諸側面を解釈できる、(3)そうした解釈を、事例として記述し、他の教師が参照可能な形で提示することは実践的意味をもつ、という3点を指摘できる。
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