研究概要 |
本研究の目的は、形式言語理論、学習理論、計算量理論などの計算機科学の基礎理論で得られたいろいろな結果を自然言語処理に応用しようとするものである。 形式言語理論では、自然言語の分野で現在注目されている Tree Adjoining Grammar (以下ではTAGと略す)を、形式言語理論の立場から見直し、いろいろな新しい結果を得ることができた。特に、形式言語理論で従来から研究されている、文脈自由木文法に自然な制限を与えることにより、Spine Grammarと呼ぶ新しい文法を定義した。この文法のクラスは、TAGと同じ文字列言語のクラスを定義し、TAGより自然な木言語のクラスを生成する。この結果は、Theory of Computing Systems 33 に掲載予定である。また、学習理論として、順序機械が極限同定可能であることを証明した。順序機械は、最も基本的な言語変換機モデルである。この結果は電子情報通信学会論文誌に掲載予定である。 研究分担者の岩田は、アルゴリズムの下界を求める研究で、(6,6)-マージングネットワークの下界を明らかにした(IEICE Trans.INF.& Syst.E83-D)。武永は、ブール関数のOBDDに基づくtree-shellable可能性について調べた("Checking ordered tree-shellability of boolean functions based on OBDDs",信学技法)。また蓮沼は、de Bruijin 有向グラフの分解に関する性質を明らかにした(Isomorhpic factorization of de Bruijn digraphs,Discrete Math.,掲載予定)。
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