研究概要 |
補助金の交付決定が,追加であったため,研究の主体をなす機器備品(高温電気炉)の納入が遅れ,平成11年にずれ込んでしまった。さらに,メーカーの調整ミスが重なり,実際に下水汚泥の溶融物を調整できたのは2月に入ってからであり,ほとんど研究が進んでいないのが現状である。1. 下水汚泥溶融物の外観 (1) 凝集剤として薬物を添加せず,熱処理により凝集させている汚泥の場合 800℃焼却での焼却灰におけるケイ酸含量が46%と高く,カルシウム含量は0.6%と低いのが特徴である。1100℃溶融では細かい穴がたくさんあいた軽石状になり,完全に溶融しなかったものと考えられた。1300℃・1500℃の溶融では,光沢を持ったガラス質の溶融物が得られた。 (2) 凝集剤として石灰・塩鉄を添加している汚泥の場合 800℃焼却での焼却灰におけるケイ酸含量が23%と低く,カルシウム含量は2.5%と高いのが特徴である。1100℃では800℃の焼却灰に比べ,色がやや濃くなったものの溶融せず,溶融点に達しなかった。1300℃溶融では表面に凹凸ができ,光沢もなかった。1500℃溶融では表面は滑らかになったが,(1)の場合ほど光沢はなかった。 アルミナ99.5%の坩堝を使用しているが,溶融したとき,溶融物が坩堝に焼結してしまい,坩堝を壊さなければ溶融物が得られないため,その対応に苦慮している。
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