本年度は当初の予定通りまず計算専用のパーソナルコンピュータ、及び周辺機器を購入した。購入した計算機を利用して、位数1000までのほとんどすべての可解群の有限体、及び複素数体上の既約表現の次数を求め、その結果これまでに得られていたp-長さが1の場合に関する結果がより一般的な条件の下でも、成り立つかも知れないとの予想を得た。具体的にはSylow p-部分群の正規化群のSylow群による剰余群がアーベル群であるという性質を群環の性質、特に指標の次数及びブロック分解で特徴付けることが目標であるが、多くの実例を計算したことによって若干ではあるが研究の方針が明確になってきている。来年度はこの多くの実例を基に以前の結果を拡張した命題を証明することが課題となる。 また研究課題と直接の関係はないが、代数的組合せ論の主要な研究対象であるアソシエーションスキームの分類に関する計算もこの計算機で行った。以前は19点まで分類されていたが、これによって23点までの結果を得ることが出来た。現在は24点の計算を行うと同時により有効な計算方法の検討、及びより効率的な計算をするためのプログラムの検討を行っている。 その他には、代数学及び計算機科学関連の図書の購入、研究打合せは有限群の表現、多元環の表現、代数的組合せ論等の代数学を専門とする研究者のみではなく、計算機科学を専門とする研究者とも行い、多くの有意義な議論をすることが出来た。
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