• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

T細胞活性化に関わるインテグリンの構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 10770141
研究機関熊本大学

研究代表者

入江 厚  熊本大学, 医学研究科, 助手 (30250343)

キーワードT細胞 / HLA / インテグリン / T細胞受容体 / 部分アゴニスト
研究概要

本研究は重要なT細胞と抗原提示細胞との相互作用において、coreceptorであるインテグリンの各種変異体がどのような影響をT細胞内の情報伝達系に与えるかを解析することを目的とする。本目的を遂行するために平成10年度に以下の実験を行い、また知見を得た。
溶連菌M12タンパク質由来のペプチド(アミノ酸残基54〜68)およびHLA-DR4をリガンドとするヒトT細胞クローンYN5-32(申請者の所属する研究室で保持)のT細胞受容体(TCR)のα鎖およびβ鎖のcDNA全長をクローニングしその塩基配列を明らかにした。その結果、α鎖およびβ鎖の可変領域はそれぞれVα4.2、Vβ20.1であることがわかった。YN5-32のモデル細胞を構築するため、得られ灯CRcDNAを哺乳細胞発現ベクターであるpBJ-1に組み込み、薬剤耐性遺伝子とともにJurkat細胞あるいはTG40細胞にトランスフェクトし、YN5-32TCRの発現細胞の作製を試みている。
一方、抗原提示細胞のモデルとしてマウスL細胞に、溶連菌M12タンパク質のアミノ酸残基54〜68のペプチドを結合したHLA-DR4、あるいはペプチド内にアミノ酸残基の変異を導入した変異ペプチドを結合したHLA-DR4をトランスフェクトし、各々の高発現体および低発現体を作製した。HLA-DR4に結合した野生型のM12ぺプチドはYN5-32を完全に活性化しその細胞増殖を誘導する。しかし63番目のグルタミン酸をバリンに変えた変異ペプチド (E63V)は部分アゴニストとして作用し、YN5-32を部分的には活性化するが細胞増殖までには至らないと従来考えられていた。これに反して本研究で作製したE63Vペプチドを結合したHLA-DR4を高発現する抗原提示細胞は、野生型ペプチドと比べて弱いながらも、YN5-32の細胞増殖を誘導することを見出した(平成10年度日本免疫学会大会にて発表)。本発見は本来T細胞が増殖応答を示さないペプチト゚であっても条件によっては増殖しうることを意味し、自己組織に対してT細胞が反応してしまうような自己免疫疾患の発症機構の解明の手がかりにもなりうる。
平成11年度においては、本来の目的に加え部分アゴニストによるT細胞増殖のシグナル伝達機構についても解析を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] TAKADA Y: "Structural basis of integrin-mediated signal transduction" Matrix Biol. 16. 143-151 (1997)

  • [文献書誌] Mould A.P: "Defining the topology of integrin 0.5=1-fibronectin interactions using inhibitory antl-=5 and anti‐=1monoclonal anllbodies・Evidene that the synergy sequence of fibronectin is recognized by the amino‐terminal repeats of =5 subunit" J.Biol.Chem. 272. 17283-17292 (1997)

  • [文献書誌] Irie A: "Multiple loop steuctures critical for llgand binding of the integrin =4 subunit in the upper face of the =‐propeller model" Proc.Natl Acad. Sci.USA. 94. 7198-7203 (1997)

  • [文献書誌] Kamata T: "Critical residues of integrin allb subunit for binding of allb allb =3(glycoprotein 11b‐111a)to fibrinogen and llgand‐mimetic antlbodies(PAC-1,OP-G2,and LJ-CP3)" J.Biol.Chem. 271. 18610-18615 (1996)

  • [文献書誌] Matuura N: "induction of expreimental bone metastasis in mice by transfection of integrin =4=1 into tumor cells" Am.J.Pathol.148. 55-61 (1996)

  • [文献書誌] Irie A: "Critical amino acld residues for ligand binding are clustered in a predicted =-turn of the third N-terminal repeat in the integrin =4 and =5 subunits" EMBO J. 14. 5550-5556 (1995)

  • [文献書誌] 入江 厚: "免疫 しくみと疾患のすべて" 羊土社, 13 (1998)

URL: 

公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi