研究概要 |
申請者らは抗エストロゲン剤タモキシフェン、トレミフェンのDNA adductについて研究を行ってきた。そこで、更にDNA adductを迅速に検出する実験系の開発に取り組み培養細胞を抗エストロゲン剤で処理した際に起こるDNA adductをPCR及びPCRシークエンス法の一つであるligation-mediated PCR(LMPCR)により解析できる系を見だした。 今回の研究はこのシステム開発を進めDNA adductを簡単に短時間で検出する系の予備実験となる物である。結果は次の通りである。 1) bcl-2、VEGF受容体の遺伝子についてそれぞれのホットスポット、についてプライマー群(重複した多重プライマー群)を作成した。そのプライマー群を用いて抗エストロゲン剤で処理した乳癌由来細胞からDNA,RNAを抽出したものをテンプレートとしてPCRを行ったところある部位でPCR DNAフラグメントが生成しないかあるいはPCRシークエンスで配列に差が見出された。現在、アニーリングの温度等のPCR条件を変えてRT-PCR,PCRを行う等の実験を行い生成したDNAを電気泳動を用いてその鎖長、あるいは増減を詳しく解析している。 2) 申請者らは抗エストロゲン剤タモキシフェン、トレミフェンに白血病細胞U937を添加すると、濃度および時間依存性に生細胞は減少した。この減少がアポトーシスによる細胞死であることは、断片化DNAの検出で確認できた。この際にDNA adductかどのような影響を与えているかは全く知られていない。現在、複数の細胞死(アポトーシス)関連遺伝子に付いて1)と同じ様な解析を行うべく準備中である。
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