V級窩洞形成後5日から修復象牙質の形成が認められた。形成後7日、10日、14日と経過するにつれ修復象牙質の形成量は増大していった。Horseradish peroxidaseは窩洞直下の象牙細管内と修復象牙質の象牙細管内に陽性となった。14日例では本来の象牙質と修復象牙質との境界部で透過性が減少する所見が認められたが、本来の象牙細管内の陽性像が完全に消失する所見は認められなかった。このことから、修復象牙質の形成は象牙細管への組織液の移動を減少させるが完全には移動を阻止しない可能性が示唆された。 窩洞形成後のFibronectinの局在を同様の実験系で免疫組織化学的に検索したところ、窩洞形成直後から窩洞形成後1日までFibronectinは窩洞形成直下の象牙細管内および毛細血管の周囲に認められ、Fibrinogenと類似した局在を示した。Fibronectinは細胞の移動や分化と関連があるので、このことから毛細血管周囲にある未分化間葉細胞が象牙前質へ移動し象牙芽細胞に分化するのに関連がある可能性が示唆された。
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