研究課題/領域番号 |
10J00264
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
矢倉 裕奈 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員DC1
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キーワード | 血友病A / 遺伝子治療 / ヒト人工染色体 / 血小板特異的発現 |
研究概要 |
凝固第VIII因子の遺伝子異常により発症する血友病Aでは、主にウイルスベクターを用いた遺伝子治療法の開発研究が進められてきたが、抗ウイルス抗体の出現やがん化の懸念などが払拭できない。本研究では、安定に自律複製する人工染色体ベクターを用いて、安全性の高い遺伝子治療法を開発することを目的とする。当該年度は、VIII因子搭載マウス人工染色体ベクター(FVIII-MAC)の構築と血友病モデルマウス由来のiPS細胞の作製を行い、FVIII-MACをiPS細胞へ移入した。 VIII因子に対する中和抗体産生の抑制を期待し、血小板特異的にVIII因子を発現させるためにPlatelet factor 4(PF4)プロモーターを用いたヒト人工染色体ベクター(FVIII-HAC)を構築してきたが、前年度までの研究で、マウスの骨髄細胞ではHACベクターの保持率が著しく低下していることが明らかとなった。これはヒトとマウスの種差によるものと考えられることから、当該年度は、マウスを用いた本治療法の有効性の検証を行うために、同様の発現カセットをタンデムに4コピー搭載したマウス人工染色体(MAC)ベクターを構築した。他方、血友病モデルマウス由来線維芽細胞および血友病患者由来滑膜細胞に4遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)のセンダイウイルスベクターを導入してiPS細胞を作製した。取得したマウスiPS細胞およびヒトiPS細胞のキナクリン・ヘキスト染色による核型解析を行い、染色体に異常がないことを確認したのち、微小核細胞融合法を用いてマウスiPS細胞に構築したFVIII-MAcを移入した。FISH解析によりMACベクターが宿主染色体とは独立して保持されていることが確認でき、遺伝子治療用ベクターを保持するiPS細胞の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VIII因子搭載MACベクターの構築および血友病モデルマウス由来iPS細胞の作製に成功し、マウスを用いた治療効果の検証へと移行する段階まで到達できたことから、順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、VIII因子搭載MACベクターを保持し核型に異常のないマウスiPS細胞を用いてキメラマウスを作製し、血友病モデルマウスを用いた本治療法の有効性の検証を行う。ヒトiPS細胞にはVIII因子搭載HACベクターを導入して、in-vitroにおけるVIII因子の発現解析を行う。
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