研究課題/領域番号 |
11101003
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
小川 智子 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (80028208)
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研究分担者 |
篠原 彰 大阪大学, 理学研究科, 助手 (00252578)
小川 英行 岩手女子看護短期大学, 教授 (70028207)
田中 茂生 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (10281586)
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キーワード | Mre11蛋白質の機能制御 / DNA傷害修復でのMre11の役割 / テロメアG-rich構造を認識するMre11 / Mre11のリン酸化の役割 / Mer3蛋白質 / Mer3の交叉型組換えと染色体分配の役割 |
研究概要 |
本年度の主な成果は下記の4点である。 (1)DNA傷害の修復反応に於けるMre11蛋白質の役割:Mre11蛋白質はヌクレアーゼ活、2重鎖DNA末端の巻き戻し活性、相補的な単鎖DNAをアニールする活性、二分子のDNA末端を近付け保持する活性を持つ。これらの活性は、Mre11の持つ2つのDNA結合活性とRad50蛋白質の結合によりコントロールせれ、修復反応に関与する。 (2)テロメア長維持で働くMre11蛋白質機能の解析:G-richテロメア配列はG-DNA構造を形成するが、Mre11はその構造を認識してテロメアへ結合し、その末端をヌクレアーゼから保護している。またMre11はG-DNA構造を解消し、その単鎖DNAをテロメア合成に提供すると考えられる (3)RAD51遺伝子発現制御に関与する因子の同定とその役割の解析:RAD51、RAD52、RAD54の上流にCbf-1蛋白質が結合し、DNA傷害で誘導された、これらの発現をG2/M期でシャット・オフする。Cbf1はG2/M期特異的なリプレッサーと考えられる。 (4)Mre11蛋白質のリン酸化と、リン酸化に関与する遺伝子の同定:二重鎖切断の導入で働く Mre11は二重鎖切断の消失と同時期にリン酸化される。二重鎖切断以降の過程が欠損したrad50S細胞のMre11はリン酸化されるが、mre11-58ではされない。また前者は細胞周期をG2/M期で停止するが、後者はしない。このリン酸化にTEL1とMRE4遺伝子が関与し、Mre11のリン酸化がG2/Mでの細胞周期停止を導く事を示唆した。 (5)交叉型組換えと染色体分配:新しく分離した遺伝子MER3の解析は、二つの組換え体の形成が組換え中間体の形成途上で決まることを示唆した。
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