研究概要 |
1.cDNAアレイ解析で同定されたClass I遺伝子の発現動態をRT-PCR/定量PCR法により解析し,Class Iであることを確認した. 2.Class Iに属するRad GTPase遺伝子を含むラットゲノムのBACクローンから,隣接遺伝子を含めた約17kbの領域をプラスミドベクターにサブクローニングし,塩基配列を決定した. 3.DNase I-定量PCR法により,この領域のクロマチン高次構造の局所的変化を経時的に解析したところ,Rad GTPase遺伝子の転写領域と転写開始部位上流約1.4kbにトポIIβの活性に依存して脱凝縮を受けるクロマチンドメインが同定された.後者の脱凝縮はRad GTPase遺伝子の転写誘導に先行することから,転写そのものに付随する変化ではなく,転写誘導の制御に関連したものと考えられた. 4.このゲノム領域でトポIIβ作用部位と核マトリックス付着領域(MAR)のPCRマッピングを行った.PCRで増幅が困難な領域を除き,トポIIβが強く作用する部位は検出されなかった.MARについては全領域で,核マトリックスへの親和性が強い部位(constitutive MAR)を検出できなかったが,転写開始後のRad GTPase遺伝子の領域には,転写複合体を介すると思われる弱い結合を認めた.これらの結果はRad GTPase遺伝子の転写誘導に関わるトポIIβ作用部位およびMARはこの領域外に存在することを示唆する.
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