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2002 年度 実績報告書

日本における「芸術」概念の誕生と死

研究課題

研究課題/領域番号 11301001
研究機関大阪大学

研究代表者

上倉 庸敬  大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90115824)

研究分担者 藤田 治彦  大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00173435)
森谷 宇一  大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70033181)
神林 恒道  立命館大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80089862)
渡辺 浩司  大阪大学, 大学院・文学研究科, 助手 (50263182)
永田 靖  大阪大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80269969)
キーワード芸術概念 / 近代日本 / 近代ヨーロッパ / インターカルチュアリズム / コロニアリズム / モダン / ポストモダン / 現代キリスト教思想
研究概要

本研究の最終年度であった。年度の前半は、各研究分担者の研究成果を全体で討論し、そのための研究会、電子メールによる意見の交換と補完に充てられた。後半はそれぞれが最終報告のとりまとめに入った。詳細は現在、印刷中の成果報告書にまとめられる。
最終年度をむかえるにあたって本研究が直面していた課題は以下のとおりであった。現在、日本の「芸術」は二極化している。ひとつは純粋化を維持しようとする「芸術」であり、いまひとつは「あたらしさ=総合」という視点からクロスオーバーをめざす「芸術」である。それは実は、日本のみならず、世界の各局地における「芸術」概念の共通構造である。「芸術」の事象における世界的な傾向とは、各局地に通底する先述の構造を孕みつつ、各局地で独自の展開をくりひろげている多様さのうちにこそある。では、(1)日本の近代「芸術」概念が成就し、また喪失したものはなんであるか。(2)なぜ、近代の芸術「概念」は死を迎えねばならなかったか。(3)「ユニ・カルチャー」の傾向にある現代世界で、日本に独自な「芸術」概念の現況は、どのような可能性をもっているか。(4)その可能性は日本のみならず世界の各局地に敷衍できるかどうか。
解答の詳細は成果報告書を見られたい。解答をみちびきだすために準拠した、わたくしたちの基本成果はつぎのとおりである。(1)西欧で成立した「芸術」概念が19世紀半ばから100年、世界を支配した。(2)その支配は世界の各局地で自己同定の喪失をもたらした。日本も例外ではない。(3)20世紀半ばから世界の各局地で自己「再」同定がはじまった。(4)再同定は単なる伝統の復活ではなく、伝統による「死せる芸術概念」の取り込みである。(5)再同定は芸術「事象」において確立され、芸術「概念」において未完である。(6)日本における「芸術」概念の誕生と死が示すものは、2500年におよぶ西洋美学理論の崩壊である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 上倉 庸敬: "芸術と受肉"待兼山論叢. 第36号. 1-25 (2002)

  • [文献書誌] 藤田 治彦: "柳宗悦とアーツ・アンド・クラフツ"美術フォーラム21. 第6号. 115-119 (2002)

  • [文献書誌] 三木 順子: "『純粋』視覚のディスクール"美術フォーラム21. 第7号. 55-59 (2003)

  • [文献書誌] 川田 都樹子: "『後期印象派』なる邦訳語をめぐって-岡倉天心と上田敏を中心に"美術フォーラム21. 第7号. 134-140 (2003)

  • [文献書誌] 六人部 昭典: "筆触の思想"美学. 第209号. 43-56 (2002)

  • [文献書誌] 六人部 昭典: "高村光太郎『印象主義の思想と藝術』に関する一考察"大手前大学人文科学部論集. 第3号. 1-12 (2003)

  • [文献書誌] 神林 恒道: "『美学事始 芸術学の日本近代』"勁草書房. 251 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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