研究課題/領域番号 |
11301002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
越 宏一 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (60099934)
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研究分担者 |
長塚 安司 東海大学, 教養学部, 教授 (30015250)
辻 成史 金沢美術工芸大学, 大学院, 教授 (90127259)
佐々木 英也 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50000394)
中山 典夫 筑波大学, 芸術学系, 教授 (30137939)
福部 信敏 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (90049320)
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キーワード | 写本画 / 古代末期美術 / 『フィロカロスの暦』 / 『ノティティア・ディグニタートゥム』 / 『アラテア』 / 『ディアオスコリデス』 / 『イリアス・アンブロジアーナ』 / 『ウェルギリウス・ウァティカーヌス』 |
研究概要 |
本研究は、西洋古代末期美術の二面性、すなわち、先行する古典古代美術の継承と後続の中世美術への橋渡しという特徴について、写本画に中心に検討するものである。 本年度は、まず、研究の基礎資料を構築するため、古代末期の非キリスト教写本挿絵に関する文献資料並びに図版資料を集中的に収集した。その際、彩飾写本のファクシミリ版も10点入手し、収集した写真・スライド等と併せて、画像入力機器を用いてコンピューターに入力し、作例のデジタルデータを作製した。これには主として薩摩雅登・小野寺玲子・熊澤弘があたった。 この情報収集・処理作業と併行して、月一回の定例の研究発表集会及び臨時の研究連絡会議を開催し、研究代表者及び各研究分担者がそれぞれ独自に押し進めた研究成果の中間報告とそれについての討議を行った。研究集会における口頭発表において越宏一は、本研究の主たる研究対象6作品の中から、『アラテア』『ノティティア・ディグニタートゥム』『ディオスコリデス』を選び、各作品を概観すると共に、それらにおける古代末期写本のヤヌス的特徴を具体的に指摘した。福部信敏は『イリアス・アンブロジアーナ』の奥行き表現をギリシア絵画の画面構成を見据えて考察し、長田年弘は古代美術における哲学者像の変遷を検討して、古代末期写本の著者像への伝承を論じた。また、中山典夫は「古典考古学から見た古代末期」という問題意識のもとに『イリアス・アンブロジアーナ』を取り上げ、名取四郎は後期古代ローマ美術における都市の表現についての発表を行った。 なお、辻成史及び佐々木英也は『ウェルギリウス・ウァティカーヌス』、長塚安司は『ディオスコリデス』、永澤峻は、『フィロカルスの暦』、篠塚千恵子は『ノティティア・ディグニタートゥム』について、それぞれ特殊研究を進めた。その結果については次年度の研究集会で発表される予定である。
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