研究概要 |
これまでにSAMの分化に不可欠な、5遺伝子座(SHL1〜SHL4)を同定したが、SAM分化後の機能については不明であった。そこで、SHL1, SHL2の弱い対立遺伝子を同定した。shl1-3, shl2-8変異体では、SAMは分化するが、葉を何枚か分化した後枯死した。従って、SHL1, SHL2遺伝子は、SAMの分化だけでなくその維持にも関与していることが明らかになった。 野生型の葉は左右の幅が異なること、そのパターンが規則的であることを明らかにした。その規則性は葉原基の巻き方を反映しており、それは更にSAMの左右生を反映していると考えられる。穂や花の分化機構を明らかにするために、穂及び花のオーガニゼーションが異常となるapo1変異体を解析した。apo1では、穂軸及び枝梗の分裂組織が野生型よりも早く頂端花に転換するため、穂軸及び枝梗が短くなり、花では、鱗被が増加し、雄蕊が減少した。このような表現型は、APO1遺伝子が生殖成長期における頂端分裂組織のアイデンティティー転換の時間的制御に関わっていることを示している。 根の分化プログラムを明らかにする目的で、冠根(不定根)を分化しない変異体を解析した。その結果、冠根の原基は分化するが、伸長しないもの、原基そのものが分化しないものなどがあり、冠根形成に複雑な遺伝的カスケードが存在することがわかった。
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