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2000 年度 実績報告書

中世後期アリストテレス哲学受容における知性・霊魂論の発展

研究課題

研究課題/領域番号 11410003
研究機関上智大学

研究代表者

RIESENHUBER Klaus  上智大学, 文学部, 教授 (60053633)

研究分担者 長町 裕司  上智大学, 文学部, 講師 (90296880)
オロリッシュ J?C  上智大学, 外国語学部, 助教授 (00276510)
荻野 弘之  上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
川村 信三  上智大学, 神学部, 講師 (00317497)
佐藤 直子  上智大学, 文学部, 講師 (60296879)
キーワード霊魂論 / 知性論 / 後期スコラ哲学 / ラテン・アヴェロエス主義 / 能動知性 / 自己認識 / アリストテレス解釈 / 新プラトン主義
研究概要

本研究は西欧ラテン中世盛期・後期スコラ学におけるアリストテレスの知性論・霊魂論の受容・解釈史を解明することを課題とした。方法的に、アリストテレス『霊魂論』解釈の手がかりとなったそのアラブ哲学註解、特にアヴィセンナとアヴェロエス、また多大な影響を及ぼした新プラトン主義的精神理解、特に『原因論』、さらにアウグスティヌスの意識論的精神論との関係を研究の視野に入れることになった。本研究では『霊魂論』の解釈史の中で以下の諸段階と諸学派を区別することができた。1.13世紀前半ではアリストテレスの知性論は、アヴィセンナに従って理解され、能動知性が拒否されることもあれば、アウグスティヌスの照明説と結びつけて能動知性が神と同一視される(オックフォード学派)など広く異なった試みが見られる。2.1250〜70年代、1252年パリ大学学芸学部で『霊魂論』が教材として採用される時点から始まるラテン・アヴェロエス主義の、そのパリでの禁令書に至る、この中心的な時期において、(1)アルベルトゥス・マグヌス、(2)プラバンのシゲルス、(3)ボナヴェントゥラ、(4)特にトマス・アクィナスにおける能動知性・可能知性の諸解釈の発展と絡み合って身体と霊魂の差異がアウグスティヌス主義的に理解される一方、知性と霊魂が同一視され、霊魂と身体の実体的一致が積極的に新しい人間論に向かって展開されるが(アルベルトゥス、トマス)、その際アヴェロエスの新プラトン主義的な知性単一説との討論が原動力となった。3.1280〜1300年の過渡期においてラテン・アヴェロエス主義的知性論が至福論との関係において初めて体系的に発展する。4.1300〜30年ではアヴェロエス主義の知性論がパリからパドヴァとボローニャへと移り、知性単一説を基盤にした統一的なアリストテレス解釈が推し進められる一方、ケルンのドミニコ会学派でフライベルクのディートリヒによって能動知性論とアウグスティヌスの心理学的精神論が結びつけられた上、エックハルトが魂の造られざる根底という概念を基盤にドイツ神秘思想を知性論的に基礎づける。5.14世紀半ばから15世紀前半では形而上学的能動知性論の前提たる抽象説は、一方で唯名論的・経験論的に平面化され解消され、他方で15世紀前半のプラトン受容に伴って自己認識論によって乗り越えられ、近世の主体概念の先駆的形が見られる。6.16世紀前半のイタリアのアヴェロエス主義とトマス学派の間に霊魂不滅が議論の新しい焦点となる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "中世思想史14・第IV部アラブ・ユダヤ思想・第一三章イスラーム哲学の最盛期"中世思想原典集成4・琴. 1-8 (1999)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "中世思想史15・第IV部アラブ・ユダヤ思想・第一四章ユダヤ哲学"中世思想原典集成20・琴. 11. 1-8 (2000)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "中世思想史16・第V部盛期スコラ学の思想・第一五章文化の担い手-大学と新しい修道会"中世思想原典集成11・琴. 1-8 (2000)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "初期スコラ学における「理性」の問題-諸類型と諸論争"上智大学文学部・哲学科紀要. 26. 1-37 (2000)

  • [文献書誌] 長町裕司: "トマス・アクィナスと今日における神学的理性"カトリック研究. 68. 89-123 (1999)

  • [文献書誌] 佐藤直子: "クザーヌスの認識論についての一考察-Idiota de menteを中心に-"カトリック研究. 69. 29-49 (2000)

  • [文献書誌] 川村信三(共訳): "中世思想原典集成20 近世のスコラ学"平凡社. 1194 (2000)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "西洋古代・中世哲学史"平凡社. 393 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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