研究課題
本年度はイタリア、パドヴァ大学のマリ・ピエトロジョヴァンナ氏を招聘し、12月4日東京大学において講演会を催行、氏は16世紀後半のネーデルラントの画家たちによるローマおよびヴェネト地方旅行について発表した。この際、研究代表者・分担者が集い、氏と活発な議論を行なうとともに、研究の進捗具合と報告書作成等について協議した。日本美術の分野について:前年度の能登地方における長谷川等伯の調査等のとりまとめが行われた。山下による等伯調査の報告および佐藤による若沖についての論文は報告書に掲載される予定である。西洋美術の分野について:8月に研究代表者がイタリア、フィレンツェ、シエナ、ヴェネツィアにおいて旅と関わる素描帖についての調査を行ない、前年度同様関連資料写真の収集に努めた。これらの分析により得られた知見の一部は報告書に掲載される予定である。秋山は2002年1月初頭にドイツ、カールスルーエで開かれた一連の展覧会を視察し、上部ライン地方の画家の移動および影響関係についての知見を深めるとともに、アルプス以北において活動した数少ないイタリア人画家としてのヤコポ・デ・バルバリについて、特にその人文主義的画家としての影響力に重点を置きつつ分析した。その成果は報告書に掲載される予定である。中村により遂行されてきたルーベンスのスペイン旅行についての研究も報告書に掲載される。また前年度から遂行されてきた研究協力者二名による「ゴヤのイタリア画帖」の画像・文字データ入力は完了し、その概要は、ペラスケスのイタリア旅行に関する史料翻訳ともども報告書に収載されることになる。
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