研究課題/領域番号 |
11410132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 信夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00107525)
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研究分担者 |
菅原 克也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30171135)
HUGHES George 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 客員教授 (10281700)
岡本 サエ 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50012448)
古田島 洋介 明星大学, 日本文化学部, 助教授 (60211900)
伊藤 徳也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10213068)
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キーワード | 東アジア / 比較文学 / 文学史 / 文学ジャンル / 金素雲 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、中国、韓国の研究者と緊密な連絡を取りつつ、文学史執筆の計画を進展させた。 本年度の活動において特筆すべきは、平成12年11月11日(土)に、東京大学教養学部キャンパスに於いて、日韓国際シンポジウム「東アジア随筆文学の伝統-金素雲の受け継いだもの」を開催したことである。これは、日本による植民地支配の時代から戦後にかけて日韓のはざまに生きた詩人・翻訳家である金素雲の仕事に関し、日韓中三国の研究者が一同に会し研究発表を行ったもので、これはアジアにおける日本の植民地支配という、近現代の東アジア比較文学史の記述を試みる際には避けて通ることの出来ない問題について、一人の文学者の生涯と仕事という視点から徹底した討論を行い得た画期的なものであった。このシンポジウムの成果は、発表論文集として既に公開されているが、来年度、よりまとまった形で公刊する計画である。 『東アジア比較文学史』の執筆に関しては、先行する第二巻の近現代編の編集を進める一方で、第一巻前近代編については各分担者の執筆が進行しており、第三巻についても執筆依頼を行いうるまでになっている。 本年度の研究活動を通じて明らかになったのは、東アジア近現代史における日本の位置について、日中間三国での歴史認識を深め、文学への関わりの諸相を見極める必要があるという点であった。また、西洋文学の伝統とは異質な、東アジアの「文学」概念を、普遍的な語彙によって記述することの重要性が再確認された。 最終年度である来年度には、文学史記述に関する研究成果を目に見える形で公表するため、さらに研究体制を整えてゆく予定である。
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