研究分担者 |
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
浦 一章 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90203596)
長神 悟 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00126137)
塩川 徹也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00109050)
松浦 純 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70107522)
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研究概要 |
本研究の第一の目的は,ミーニュの教父全集に収められているキリスト教学関係の著作の中から文献学関連の論考を抜き出し,それらを検討することによって,キリスト教的中世におけるラテン語文献学の伝統を明らかにする点にある。これについては,研究分担者の分担作業によって,(1)古代末期のアウグスティヌスの『吟味の書』やカシオドールスの『自由学芸論』が中世前期に書物探索のための書誌として機能した例,また(2)12世紀初頭のアベラールの『然りと否』の序文やロベール・ド・ムランの『命題集』序文が新しい論述法の実践を提唱し,それを通じてスコラ学の方法論が編み出されていった例,さらに(3)12世紀後半のユーグ・ド・サン・ヴィクトールの『学習論』がテクストの読解法について新しい観点を打ち出している例,などを拾い上げることができた。今後もこうした例の探索を続け,きめのこまかいラテン語文献学史の再構成が目指されるであろう。また第二の目的である個別研究の部分についていえば,研究分担者月村は,14世紀のジャン・ビュリダンと16世紀のルフェーヴル・デタープルのパリ大学講義教科書を比較して,教父著作のテクストの取り扱いの変化を明らかにした。また研究代表者片山は,16世紀の人文主義者スカリゲルのエウセビウス『年代記』研究について,エウセビウスの原テクストの再検討を通して新しい知見をもたらした。特にCD-Rom版のミーニュ教父全集が備える全文検索機能や,デジタル化されたテクストのデータ・ベース・ソフトの活用による並べ替え等の作業を活用した点が注目される。
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