研究課題/領域番号 |
11420015
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 光利 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00128646)
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研究分担者 |
真渕 勝 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70165934)
品田 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10226136)
久米 郁男 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30195523)
加藤 淳子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00251314)
大西 裕 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (90254375)
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キーワード | バブル経済 / 金融政策 / 日本銀行 / 大蔵省 / 新制度論 / 経路依存性 |
研究概要 |
本年度は、継続中の理論研究、文献・資料収集、聞き取り調査を補完し、また各自がテーマを決めて分析を進めた。内容的には(1)バブル崩壊後の処理を説明しようとする伊藤・真渕・大西と(2)バブル経済前後の環境を検討する加藤・久米・品田に分かれる。(1)の中で伊藤・真渕は、住専問題に焦点を定める。バブル処理の最初の段階で住専処理が国民に公的資金投入への不信感を植え付けたため、後に不良債権処理が困難になった。真渕は住専の一つである日住金の第一次再建計画、第二次再建計画、財政資金投入を含む処理案の策定過程を時系列で追跡し各時点での当事者の考え・行動を再現検討した。伊藤は新制度論アプローチを用い、護送船団方式という理念、連立政権や金融政策に対する財政政策の優位などの制度配置、官僚スキャンダルなどの状況的要因を住専処理策の説明要因として析出した。大西は昨年来の理論研究を踏まえ、韓国通貸危磯の直接的な原因は、「擬似中央銀行」と見られてきた財政経済院の力の限界が露呈したことをきっかけに投資家の平価切り下げ予測が決定的になったことであるとした。(2)の中で、加藤は、わが国の官僚・政党・企業組織に共通して存在する、同質的で流動性が低いという組織的特徴が、政治経済上の「成功」局面では合意の効率的形成と効率的な搬能遂行に貢献したが、逆に「失敗」の局面では組織の機能の衰退を黙認する存在となったことを示した。久米は、不良債権処理のための公的資金投入をめぐる新聞報道について記事件数、論調、各アクターの立場を系時的に分析し、公的資金問題が「世論」の「正義」に翻弄されたことを示した。品田は、各候補者の選挙公約から「全体-個別」、「創出-修正」の二軸を抽出し、93年以降、政治改革のような「全体・創出」型の政策が急増し政党再編の焦点となったことを明らかにしたが、金融政策はそこに含まれていなかった。以上、最終年度にあたり一定の成果は示せたが、研究の未完成部分および各研究の体系的な結合を進め、今後、最終的な成果を公表したい。
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