研究概要 |
光学活性珪素化合物の立体特異的官能基変換反応の開発を目的として、まず、珪素-ナフチル基間の臭素による切断反応について検討したところ、電子供与性置換基であるメトキン基をナフチル基の4-位に導入した場合に、切断反応が促進され、生成物のラセミ化が大幅に抑制できることがわかった。 この結果を利用して、メトキシ基を導入したナフチル基を有する光学活性ジシロキサンのナフチル基の切断反応を行い、その加水分解反応により水酸基を有する光学活性ジシロキサンを合成し(Org.Lett.,1,549(1999))、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシランとの重縮合により、光学活性ポリ(シロキサン)の合成に初めて成功した(Macromolecules,in press(2000))。 さらに同様の手法により得たジヒドロジシロキサンと、上で用いた光学活性ジヒドロキシジシロキサンのRh触媒による脱水素縮合反応から、シンジオタクチックポリ(シロキサン)を得ることにも成功している(Macromolecules,in preparation)。 最近、光学活性シリルリチウムの合成にも成功し、さらにその立体配置がTHF、-78℃で、1時間以上安定に維持できることも見いだしている(J.Organomet.Chem.,submitted)。
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