研究課題/領域番号 |
11450358
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 成年 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70029875)
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研究分担者 |
武井 史恵 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (30252711)
鬼塚 清孝 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (10244633)
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キーワード | ポリイソシアニド / キラル高分子 / らせんキラリティ / らせん方向識別重合 / リビング重合 / ブロック重合 / ランダム重合 / 錯体触媒重合 |
研究概要 |
らせんは高分子に特徴的な形状であり、右巻きと左巻きがあるが、それらは互いに鏡像体の関係にある。一般の合成法ではらせん状高分子をラセミ混合物として得ているが、らせん方向選択的(SSS)重合を行うことができれば一方向のらせんを持つキラルな高分子が得られる。我々は数年前Pd-Pt2核錯体1がイソシアニドのリビング重合に活性を示すことを見出し、ブロック共重合法によるイソシアニドの新規なSSS重合に成功した。本研究ではSSS重合法の確立と機能性高分子素子の開発を目的にしている。本年度は、SSS重合法の確立の確率を試み、下記の研究成果を得た。 1.ブロック共重合法により1とキラルなイソシアニド2から、らせんキラルなオリゴマ-錯体3を合成し、それを開始剤にアキラルイソシアニド4を重合させると3のらせん方向を保持した右あるいは左巻らせんのポリイソシアニドが合成できる。今迄2として(+)-あるいは(-)-メンチル基をもつフェニルイソシアニドを用いてきたが、今回他のキラルイソシアニドのSSS重合への有効性を検討し、p-イソメントキシカルボニルフェニルイソシアニド、m-およびp-ネオメントキシカルボニルフェニルイソシアニドもSSS重合し、一方向巻のらせん構造をもつポリマーを与えることを見いだした。 2.ランダム共重合法によるSSS重合を試みた。1の存在下、2と4を適当な比率で混合し重合させたところ、ランダム共重合体が生成し、2の割合が大きくなるとSSS重合が進行した。興味あることには、フロック共重合法ではSSS重合ができなかった4でもある程度のらせん構造をもつポリマーを与えた。その比旋光度と2/4モル比の関係をブロック共重合とランダム共重合で比較すると、後者の方がSSS重合の効率が高いことが分かった。しかし、3と4の組み合わせがSSS重合に大きく影響し、例えば異なった位置に置換基をもつモノマーの組み合わせではモノマー比によってらせん方向の逆転が見られるなど不可解な現象も観測された。
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