研究課題/領域番号 |
11470024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
安部 陽一 香川医科大学, 医学部, 教授 (10047227)
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研究分担者 |
西山 成 香川医科大学, 医学部, 助手 (10325334)
木村 正司 香川医科大学, 医学部, 助教授 (30253264)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 自動性調節 / 尿細管糸球体フィードバック機構 / 腎間質 / アデノシン / ATP / 一酸化窒素 / ミクロダイアリイシス法 / 輸入細動脈 |
研究概要 |
腎臓、心臓、脳といった主要臓器においては、灌流圧が変化しても血流量を一定に保つ自動性調節能が備わっている。他臓器と比較して腎臓の調節圧範囲は広く、GFRも調節を受けることから、尿細管糸球体フィードバック(TGF)機構が主体となる調節系であると想定した。そこで、MD細胞から間質中に遊離されるTGF機構の伝達物質を特定すべく、腎臓で応用可能な実質臓器用ミクロダイアリーシスプローペを開発し、腎皮質間質内の生理活性物質の動態を検討した。 腎臓は電解質再吸収に多大のエネルギーを消費し、この結果ATPの分解産物であるアデノシンが多く産生される。腎輸入細動脈にアデノシンA1受容体が存在し、収縮性に作用していることを見い出した。さらに、腎動脈内に高張食塩水を投与して尿細管に負荷をかけるとNa再吸収増加に伴うエネルギー消費により、腎間質中アデノシンの産生が増加し腎血管の収縮が見られた。この腎血管収縮は、アデノシン1受容体拮抗薬により消失することからアデノシンを介するものと特定出来る。さらに、アデノシンの腎血管作用には一酸化窒素が関与することから、一酸化窒素の腎間質内動態も検討した。一酸化窒素は腎灌流圧が75〜180mmHgの圧範囲では変化せず、それ以下の虚血時のみ減少することから、一酸化窒素はTGF機構の伝達物質というよりはむしろ修飾物質であると推測している。一方、アデノシンの前駆物質であるATPについても検討した。ATPは血管内に与えると一酸化窒素を介して血管拡張作用を発揮するが、血管外から作用させると逆に強い血管収縮作用を発揮する。そこで、TGF機構を活性化したときの腎間質内ATP濃度を検討した。、腎間質内ATP濃度は、腎灌流圧と逆相関することあるいはTGF機構の刺激(アセタゾラマイドの腎動脈内投与)に対して有意に増加することを見出した。すなわち、腎血管抵抗値の変化と非常に高い相関関係を示していることが分かった。以上、これら一連の研究により、生理的条件下で腎間質中の生理活性物質濃度の測定が可能となり、アデノシンもしくはATPがTGF機構の伝達物質であるとの確証を持つことができた。
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