研究課題/領域番号 |
11470198
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
辻井 博彦 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター治療・診断部, 研究員 (50088853)
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研究分担者 |
遠藤 真広 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター治療システム開発室, 研究員 (40160402)
溝江 純悦 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター治療・診断部, 研究員 (80091510)
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 第3研究グループ, 研究員 (00159526)
加藤 博敏 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター治療・診断部, 研究員 (80250116)
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キーワード | 荷電粒子線 / 重イオン線 / 線量分布 / 耐容線量 / 3次元照射法 / 消化管 / 放射線障害 / RBE |
研究概要 |
重イオン線の特徴は、ブラッグピーク特性を有しているためがん病巣の選択的照射が可能なことで、さらにX線や陽子線よりも高い生物効果(RBE)を有しているため、低酸素状態の進行癌に対しても優れた効果を期待できることである。問題は、重イオン線のRBEが線量分割法や対象臓器によって異なることで、また皮膚・結合織のRBEは2.0〜3.5ということは分かっているが、消化管のRBEについては余り分かっていない。放医研の炭素イオン線治療では、消化管原発または消化管近接の腫瘍として、食道、子宮、前立腺、肝などを対象にしている。臨床試験が進むにつれ、これ以外の上腹部腫瘍に対する治療の要望も高まっているが、それを実行に移すためには、胃や小腸の耐容線量について正確な知識と、消化管の過照射を避けるための照射法の開発が要求される。 本研究において、消化管障害を軽減する照射技術として、粒子線のための3次元原体照射法、高精度患者固定法、および呼吸同期照射法などを開発した。上腹部や骨盤領域の治療データから明らかにされた消化管の耐容線量は、子宮癌の治療から大腸(全周)で62.4GyE/6週、前立腺癌の治療から直腸(前1/3)で66GyE/5週、食道癌の治療から食道で68.4GyE/6週または52.8GyE/4週、上腹部腫瘍の治療経験から十二指腸・胃で50.0〜60GyE/4〜5周であることが明らかになった。この結果は今後、骨盤内腫瘍だけでなく、膵臓癌、胆道癌、腹部リンパ節転移などの治療を計画する時、消化管の耐容線量を規定する際に用いられることになり、さらに3次元光子線治療において荷電粒子線治療と同じような対象を狙うとき役に立つはずである。
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