研究課題
基盤研究(B)
放射線治療において線量集中性の重要性は、1950年代を境に、常圧エネルギー装置に代って高圧エネルギー装置が普及するようになってから、治療成績が格段に向上したという事実で証明されている。重イオン線は、この線量集中性に加えて体内飛跡に沿って発生するイオン密度が高いため、従来の放射線では効果が乏しい組織型の腫瘍に対して高い効果を示すとされている。放医研では1994年以来、重イオン線の一つである炭素線を用いて臨床試験を行っている。対象には腹腔や後腹膜腔あるいは骨盤腔などのがんが含まれ、消化管そのものあるいはその一部を照射せざるを得ない場合が少なくない。これらの部位のがんに対して根治線量を投与するには、消化管の線量を耐容量以下にする必要があるが、これについてはまだ十分に分かっていない。本研究においては、炭素線の治療患者を対象に、消化管の耐容線量およびそれに関与する要因について検討した。照射法についてみると、上腹部がんの治療では、しっかりした患者固定のもと呼吸同期照射が重要であることが分った。消化管の耐容線量としては、子宮癌の治療からS上結腸(部分〜全周照射)で57.6GyE/6週(62.4GyE未満)、前立腺癌の治療から直腸(前1/3照射)で60GyE/5週(66Gy未満)、食道癌の治療から食道で68.4GyE/6週または52.8GyE/4週、上腹部腫瘍の治療から十二指腸・胃で50.0〜60GyE/4〜5週であることが分った。本研究により消化管の耐容量について明らかになったので、膵癌、胆道癌、腹部リンパ節転移などの治療時、消化管の耐容線量を規定する際に有用で、膵癌および直腸癌骨盤内再発に対する炭素線治療のプロトコールを作成することができた。なお炭素線の抗腫瘍効果は、一般の放射線に抵抗性を示すとされる腺癌に対して、理論上の利点を裏付ける良好な効果が得られた。
すべて 2001 2000 1999
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