研究概要 |
今年度は,昨年度に引き続き,顧客の選好を推定するモデルを精緻化するとともに,入手したスキャンパネルデータに基づいて分析を行った.また,多次元展開法を軸としたデータマイニングを行うことにより,ブランド空間におけるの顧客の布置を表出するモデルを開発した. 1)消費者行動を表すモデルとして,ブランド選択モデルとして多項ロジットを用いるほかに,購入間隔が家庭内在庫や価格などのプロモーションに影響されること,また,購入数量も価格の影響を受けることことなどを考慮したモデルを開発した.これらを,消費者の異質性を潜在的に考慮してモデルの精緻化を図った.これを牛乳のスキャンパネルデータに適応し,価格弾力性値をもとに多次元尺度法でブランドマップを与え,牛乳カテゴリーの市場構造を分析し,マーケティング戦略上有用な情報が得られることを示した. 2)スキャンパネルデータをもとに,顧客と顧客がよく購入するブランドとの親近性を測るある距離を与える.特定ブランドの未購入客に対しても,他のよく購入するブランドとの親近性を測定する.これらを,多次元展開法を用いて顧客とブランドを同じ空間上に布置することにより,ある顧客の未購入ブランドとの距離(親近性)を推測することができる.考えられるいくつかの距離の与え方に対しても,親近性の強さを安定的に測りうることを確かめた.これにより,新製品の未購入者に,効果的にプロモーションを行う方法を与えることができることがわかった. 今年度は、上記の研究を遂行するために、新たなデータを入手し,また,計算を円滑・高速に行うためのハードウェアを重点的に整備した。また,以前に購入した研究室の計算機がダウンしたため,必要な計算施行に支障を来さぬよう計算機を追加購入した.そのため、設備費等が予定より上回ってしまっている。
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