1 テッポウエビ位置計測システムの開発 正四面体構造のビームの頂点にハイドロフォンを配置したテッポウエビ位置計測装置を開発した。各ハイドロフォンに到達するパルスの時間差によりテッポウエビの位置を特定し、パルス数とテッポウエビ密度の関係を得ることが目的である。 2 館山湾におけるテッポウエビの位置計測調査 館山湾において今回開発したテッポウエビ位置計測装置を用いて調査を実施した。時間差をもった計測データは得られており、現在解析プログラムを開発している。 3 東京湾におけるパルス数調査 千葉港から館山湾にかけてパルス数調査を行った。その結果、東京湾奥ではパルス音は観測されず、湾口部に向かうに従いパルス数が増加することが観測された。同時に水質項目を測定し、パルス数と溶存酸素濃度との間に相関があることを見いだした。 4 各地におけるパルス数調査 コンパクトなパルス観測装置を構成した。これを用い、島根県中海周辺、宮城県仙台湾周辺、トルコ南部地中海、ボスポラス海峡などでパルス数の測定を行った。その結果、中海、仙台湾、地中海などでパルスが確認できたほか、中海や仙台湾でも奥部ではパルス数が激減すること、マルマラ海の最奥に位置するボスポラス海峡ではパルスが聞かれなかったことなど、水質との関連が強く示唆された。 5 テッポウエビ畜養予備実験 水産大学校との協力により、テッポウエビを水槽で蓄養するための人工巣穴部材3種類を用いてテッポウエビ、イソテッポウエビの蓄養実験を行った。その結果、いずれの人工巣穴部材にもテッポウエビの定着が見られ、蓄養が可能であることが明らかになった。来年度には実験室においてテッポウエビの種類毎のパルスの性質の違いを明らかにする予定である。
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