研究概要 |
本研究の目的は、ダウンサイジングが叫ばれている社会のニーズに緊急にこたえるため、現在開発を進めている高速・高倍率濃縮法(均一液液抽出法)による測定試料の微小化とこれに呼応するダウンサイジングを指向した分析装置を融合することにある。この目的の達成によって分析システムとしてのトータルなダウンサイジングを実現する。 本年度は、三成分系均一液液抽出を前段濃縮法とし、ダウンサイジング指向型分析装置(高速液体クロマトグラフおよびガスクロマトグラフ/質量分析)を用いて、以下の成果を拳げることができた。 1.三成分系均一液液抽出を前段濃縮法とする高速液体クロマトグラフィー 水/ピリジン/クロロ酢酸エチル三成分溶媒系において、pH依存相分離現象を利用した新しい均一液液抽出法を開発した。予じめ添加するクロロ酢酸エチルの量を調節すると濃度倍率を最大一万倍とすることができる。本法において、抽出可能なキレート試薬として超高感度分析試薬である水溶性ポルフィリンを選定した。吸光検出-HPLCによる金属イオン(Cu^<2+>,Zn^<2+>,Mn^<2+>,Co^<2+>)の分析ができ、河川水中の各金属イオンの同時定量に応用した。 2.三成分系均一液液抽出-GC/MS法によるクロロフェノール類の定量 1.で見い出した水/ピリジン/クロロ酢酸エチル三成分系均一液液抽出法をGC/MSの前処理法として応用し、環境ホルモンとして疑われている12種類のクロロフェノール類の同時定量法を開発した。 次年度は、更に使用する試料量が少ないキャピラリー電気泳動装置と均一液液抽出による超高倍率濃縮法との融合を計りたい。
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