新品種の内'秋栄'は産地によってみつ症が顕著に発生し、火山灰土壌や徒長枝発生の多い樹では発生が多い傾向が認められた。この傾向は特に千葉県で顕著であった。今後各産地の土壌と気象要因を詳しく調査する予定である。またジベレリン処理はみつ症発生を助長し、逆にジベレリン抑制剤と夏季せん定より軽減された。これらの処理区の果実中のジベレリン濃度を測定したところ、明らかにみつ症の発生との関連が示された。 一方、各産地での収穫後の日持ち性を調査したところ、室温で'真寿'が7日程度と短く、'瑞秋'と'秋栄'は20日程度と優れており、この貯蔵特性は収穫果実のエチレン生成量に依存していた。また各産地における開花期を調査した結果、いずれも3品種中'秋栄'、'真寿'、'瑞秋'の順であった。これらの特性には台木の影響はみられなかった。さらに開花期の花柱および子房の耐凍性を比較した結果、いずれも'二十世紀'より弱いものとみなされ、晩霜地帯での生産には注意が必要であることが示された。 台木別の樹体生長を調査したところ、'真寿'はマンシュウマメナシ台が、また'秋栄'と'瑞秋'はマメナシ台に接ぎ木した場合の生長がややすぐれていたが、有意な差は認められなかった。いずれの台木においても各品種とも短果枝の着生は良くまた着果した場合の短果枝の維持も容易であった。またいずれの産地においてもそれぞれ豊産性の品種であること並びに現在の主流の台木で十分な生長を示すことも確認された。
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