研究概要 |
蛍光灯の連続弱光下で果実生産力を高めることを目的に、光合成の重要な要素である炭酸ガスの効果について試験した。ピーマン品種'京みどり'の第1番花の開花時から炭酸ガス施肥を行った。また、これと並行して、ピーマン品種'京みどり'を自然光下のハウス内でロックウール栽培した。6月30日に果実長が6cm以上に達した果実を収穫し、果実品質について室内収穫果実と比較した。 累積収穫果数においてはCO2濃度800,1200,1600ppm処理区内での差は見られず、同処理区がcontrol区よりも多くなり、開花後72日目にはcontrol区の約1.4倍となった。乾物分配については、果実の乾物重はcontrol区よりもCO2処理区で有意に増加した。 一方、総着果数においてはCO2濃度1200,1600ppm区が800ppm区と比べて有意に多くなった。生長に対する炭酸ガス施肥の効果には、有意差が見られなかった。しかし、CO2濃度1200及び1600ppmの処理区では開花後60日目頃から葉に黄変が見られた。これは高濃度CO2における光合成産物の過剰蓄積によるものと考えられた。 果実中のデンプン含量は自然光区で有意に高くなり、人工光区ではCO2濃度が高くなるにつれて増加する傾向にあったが、糖含量については自然光区と人工光区間に有意差はなかった。また、人工光で栽培したピーマンの果実は自然光のものよりクロロフィル含量が有意に高く、果実の緑色が濃かった。果実の含水率及び果皮の硬さも人工光区の方が有意に高く、人工光区のピーマンは自然光区のものより見た目が鮮やかで、歯応えもある果実となることが明らかとなった。 以上の結果より、蛍光灯連続光下での炭酸ガス施肥はピーマンの着果と肥大に効果があること、この場合,葉の黄変の有無ならびに果実収量の点からみてCO2濃度は800ppm程度がよいと判断された。
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