研究課題/領域番号 |
11556006
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
桝田 正治 岡山大学, 農学部, 教授 (90026617)
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研究分担者 |
向阪 信一 松下電工, 照明分室・照明戦略企画室, 室長
村上 賢治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (40200266)
吉田 裕一 岡山大学, 農学部, 助教授 (00141474)
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キーワード | ピーマン / 連続光 / 光質 / 乾物生産 / 屋内型栽培システム |
研究概要 |
今年度は、連続光下でピーマンの持つ旺盛な生育能力を品種'京みどり'を供試して詳細に検討した.連続光処理としては、太陽光を利用し夜間に連続補光する場合と、完全人工光で運続照明する場合の2つを計画した。 <完全人工光>温度27℃、湿度の条件で、青色、白色、赤色蛍光灯(開始時点のPPFDは120μmol、蛍光灯の波長ピークは420、545、660nm)を用いて連続光拠理を行ったところ赤色は、茎の伸長を促進し、青色は逆に伸長を抑制した。また、青色は第1節から4節の低位節において著しい側枝の伸長効果を示し、SPAD値も高く、全体的にコンパクトな草姿を呈した。苗の乾物重は、白色=赤色>青色の傾向にあり赤色と白色には果実生産においても有意差はなく、特に赤色蛍光灯を使用することの利点はないと考えられた。 <太陽光+夜間補光>初春に黒色寒冷しゃによる遮光区を設けて、昼間の光強度の違いによる夜間補光(メタルハライドランプPPFD:150μmol)の効果を調査した。昼間の光合成速度は、非遮光区で遮光区よりも高い値を示し夜間補光の影響はほとんど認められなかった。また、夜間の光合成速度にも遮光区、非遮光区の間に有意差がなかったことから、昼間の光強度が夜間補光中の光合成速度に影響を及ぼすことはく、夜間補光時のわずかな光合成が乾物生産の増大に寄与し、特に低日射期の補光は苗の生育促進に極めて有効である事がわかった。これらの結果を踏まえ、晩秋に4週間の補光(80μmol)処理を行ったところ、4週目には総乾物重において補光区は非補光区の約2倍となった。特に、処理3週目から4週目にかけて葉面積の増大が著しく、それと符合して乾物重も飛躍的に増大した。昼間の光合成速度は夜間補光区の方がわずかに高い傾向にはあったが、昼間の低照度下ではほとんど差がなかった。暗黒下では補光区の呼吸速度が有意に高く補光区でピーマンの代謝がより活発になるものと考えられた。このように低日射期の夜間補光は、ピーマン苗の生育促進に極めて有効な手段になりうる事が明らかとなった。このようにピーマンは連続の光エネルギーを効率良く乾物生産に転換できる能力を有しており、このメカニズムを解明することにより、他の多くの作物への応用が期待できると考えられる。
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