研究概要 |
1.科学教育において情報通信ネットワークを利用した学習環境を実現させるためのソフトウェアについて,その開発理念に求められる指針を実践的に検討した。検討のための基礎資料を収集するために,エスノグラフィ及び電子メール・コミュニケーション分析の手法を用いて,コンピュータが初めて導入された小学校における学習環境のデザインのプロセスを調査した。 2.1.で検討された指針に基づいて,ソフトウェアをデザインした。本年度は,その基礎的な作業として,スタンドアロン版の再構成型コンセプトマップ作成ソフトウェアを開発した。本ソフトウェアの開発目的は,授業におけるコラボレーションやリフレクションの促進である。従来のソフトウェアと比較して新しい特徴は,次の2点である。(1)学習者がコンセプトマップを作成するときの全過程を再現できる,(2)再現の途中からでも修正を加えてコンセプトマップを発展させることができる。 3.開発したソフトウェアについて,小学校の教師や児童を対象に評価実験を実施した。評価の観点は,ソフトウェアのユーザビリティと,教室におけるコラボレーションやリフレクションの促進であった。得られた結果は,教師も児童も,ユーザビリティの高さやコラボレーション及びリフレクションの促進について概ね肯定的に評価したことであった。
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