研究概要 |
本研究では,科学教育における情報通信ネットワークを利用した学習環境のデザインに関する知見を得るために,次の2つの研究を行った。 1.学習環境の現状分析 情報通信ネットワークやコンピュータを利用している小学校の授業を対象にして,その現場を参加観察することにより,科学教育の中での情報通信ネットワークやコンピュータの利用の現状と問題点について,学習環境のデザインという観点から考察した。 2.学習環境の望ましいデザインを可能にするシステムの開発 望ましい学習環境のデザインの一事例として,コンセプトマップ作成ソフトウェアを開発した。これはコンセプトマップの共同作成における思考の外化,思考過程の内省,および自己や他者との対話を支援するソフトウェアである。本ソフトウェアの特徴的な機能は,次の3点である。(1)再生機能:ソフトウェアはコンセプトマップの作成過程を自動的に保存する。学習者は,作成途中でも随時,その作成過程を再生することができる。(2)修正機能:学習者は,作成過程の任意の時点までアンドゥすることによって遡り,コンセプトマップを修正することができる。(3)共同作成機能:学習者は,ネットワーク上で複数のコンピュータを用いて画面を共有しながら,コンセプトマップを共同で作成できる。 小学校の現職教師や小学生に対して,使用感の良さ,操作の容易さ.共同作成と再生・修正の実現,共同作成機能と再生・修正機能の有効性,授業における利用可能性について調査を実施した。回答の結果を分析することで多くの教師や子どもたちがすべての観点から本ソフトウェアを高く評価していることがわかった。
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