研究課題
基盤研究(B)
本研究で用いるプラズマは、電源・電極等の構造がシンプルである直流グロープラズマに対して、最近の半導体による制御技術を付加し、さらに印加電圧の極性を交番させながら発生させる。特に、交番電界により電子・正イオンの役割を周期的に反転させるところが大きな特長であり、ここからインバータープラズマと名付けた。本研究では、まず成膜用としてのインバータープラズマの基本的な特性を測定を行い、以下のことがわかった。1.繰り返しパルス駆動とし、ON/OFFタイミングを0.2μsec以下の精度で制御することにより、アーキングを防止しながら、薄膜作成に必要と考えられる10^9cm^<-3>以上の密度(アルゴン、ピーク値)のプラズマが生成できた。2.銅のスパッター成膜実験をガス圧力が100Pa(Ar)において行い、平均自由長がかなり短いガス圧領域においても電界を交番させればイオオンのアシスト効果が生じ、付着性の良い膜が作成できることを確かめた。今後更に性能の向上を必要と考えられるが、上記からインバータープラズマが低コストでの成膜に適した性能を持つことがわかった。次に、低摩擦膜の1つであるダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜の作成実験を行った。メタンガスを主成分とし、シリコン基板上に40分の放電で、薬1μmの厚さの膜が生成できた。そして、得られた膜の基本的な性質については、段差計、SEM、硬度計、FTIR測定、ラマン測定法を検討・選択し、その測定準備を整えた。今後は、作成した膜の物理的な評価・改良とともに、金属面に成膜を行い、実用条件に近い摩擦・磨耗特性を測定する計画である。
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